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フライフィッシングとは


一言で言えば、西洋式毛鉤(けばり)釣りのことをフライフィッシングと言います。フライフィッシングは専用の用具を使用します。日本にも鮎の毛鉤釣り、雑魚の流し毛鉤釣り、そして渓流のテンカラ釣りなど江戸時代からの伝承的な毛鉤釣りがありますが、いずれの釣法もリールを使いません。対して、フライフィッシングは専用のフライロッド、フライラインそしてフライリールを使用することが大きな特徴です。
発祥については諸説あります。最も古いものは2200年前の古代マケドニアです。リールを使用する現在のフライフィッシングの原型となったのは18世紀頃のイギリス・スコットランドの貴族が楽しむマス釣りでした。
  つまり、フライフィッシングは漁ではなく遊びの釣りとして発展してきました。釣りを楽しむために自分で毛鉤(フライ)を巻くフライタイイングの楽しみと、投げる技術フライキャスティングを習得する楽しみは他の釣りにはない特徴的なものと言えるでしょう。今ではフライタイイング専用のツールがあり誰でも簡単にフライを作ることができます。市販品のフライもありますが、魚を釣り上げた時の喜びは自作フライにはかなわないでしょう。
  またフライを美しく投げる技術、つまりフライキャスティングはあらゆる色々な釣りの中でも特徴的なものです。マスを釣るために昆虫などを模したフライは1グラム以下と軽いものがほとんどです。フライの質量が軽すぎるため慣性と遠心力だけでは空気抵抗に負けて狙った魚の近くまで投げることは物理的に不可能です。そこで専用の程よく重さのあるフライラインとテーパーリーダーを使用してフライを運ぶのがフライキャスティングです。フライラインを前後にキャストしてループを作りフライをポイントへと届けます。このループのコントロールがキャスティングの肝です。もちろんある程度の練習が必要になりますが、思い通りにキャストしたフライに魚がアタックしてきた時の喜びは最高です。
  最後に自然観察。フライは所詮偽物ですから、なるべく実際に狙いの魚が食べている物に合わせる努力は必要です。餌は昆虫とは限らないので小魚やミミズや魚卵果てはカエルまで様々なフライパターンが存在します。魚を取り巻く環境、とりわけ食物連鎖は多様で一日のうちにも変化します。魚が食べている物を観察することが大切です。その実物に最も似ているフライを選ばなければなりません。これもフライフィッシングの醍醐味です。フライの種類や色や大きさが多種多様なのはそれをカバーするためなのです。(了)

文・よしだとしひこ

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